「久地に音楽を」
~くちのね音楽祭開催にあたって~
広島市中心部から車で1時間弱。
広島市は安佐北区安佐町「久地(くち)」。
人口およそ2500人、過疎も徐々に進んでいる、山あいのいわゆる田舎町です。私はこの地で育ち、今はシンガーソングライターとして活動をしています。
今も、久地に暮らし続ける中で、私はふと、こんな思いを抱くようになりました。
「豊かな自然と、穏やかな時間に囲まれたこの地に、音楽を届けられたらどれだけ素敵なんだろう。この空の下、土の上で思い切り音楽を鳴らせたら、それをより多くの人と共有できたなら、どれだけ素晴らしいのだろう。そしてそこから、久地をもっともっと魅力的な町にしていけるなら、どれだけ嬉しいことなんだろう。」
そんな素朴な想いから、音楽祭の構想はスタートしました。そしてそれに賛同していただけたミュージシャン、店舗の皆様のおかげで、「くちのね音楽祭」の第1回目を開催する運びとなりました。初の試みで、見通しも曖昧な中、力を貸してくれる仲間がいることに、感謝するばかりです。
「くちのね」という名前には、「久地の音(ね)」「久地の根(ね)」という二つの意味があります。私たちの音楽を、この久地という土の上で鳴らしたい。そこに新たな文化を、根ざしていきたい。根ざしたものがやがて大きな木となり、たくさんの人が集い、楽しめるように育てていきたい。そんな思いを込めて、「くちのね音楽祭」と名づけました。
今回集まった11人の歌い手は皆、それぞれの熱く強い想いにもとづいて、日々表現を続けています。久地の空の下、土と緑のとけた空気の匂い。それらと混ざり合う、私たちの魂の歌を、どうか聴きにきてください。ここでしか味わえない時間を、その肌で、心で、感じてください。
あなたの想いを、どうか久地に。
あなたの姿を、どうか久地に。
みんなの力で、「僕らの久地」に。